セキュリティ対策への共同防衛戦線は成立するのか -5社によるDCM共同開発から-

トヨタ連合軍による統一機器開発が始まる

さて今回はセキュリティど真ん中からは外れますが、トヨタ、そしてトヨタ資本提携のある4社(マツダ、スズキ、SUBARUダイハツ)による下記を見てみたいと思います。

わたし自身、この4社の中にお世話になっている自動車会社があるので、トヨタとの共同開発といった話は度々耳にするのですが、いまいち形になっていないような気がしていました。86とBRZのような関係はともかく、自動車のプラットフォーム、コア部品といったような領域での共同開発については、わたしの知る範囲では初めてのことで興味を持った次第です。

(よく聞くのは、トヨタが既に市場開拓している海外へ事業展開する際に、そこで利用している資産(たとえばITシステムなど)を活用できないか、みたいな協働??くらいですね。あまり良い話は聞いたことがありません。。。)

車載通信機って何??

はい、というわけでいつも通り、ステップ・バイ・ステップで理解を試みますが、まずは車載通信機なるものは何だろう、ということで下記を参照しつつ勉強していきます。

車載通信機はData Communication Module、略してDCMと呼ばれるクルマ専用の通信機のこと。車を各種サービスとコネクトさせるにあたり、このDCMを用いるか、スマホを経由するか、の大きく2つに現在は大別されているようです。つまりはDCM搭載車には車本体にSIMカードが刺さっている、ということのようです。わたしの自家用車にはDCMもなければ大したスマホ連携もないので、このあたりの最新事情には明るくないのですが、事故時の保険会社とのやり取りや、故障時のディーラーへの連絡、はたまた自動運転時の道路状況の把握、前後車両との車間距離維持など、今後はますます重要なモジュールになることが容易に想像できますね。下記イメージが載ってましたが、最近の新車には既にここまで実装されてるんですかね。羨ましい。。。

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https://www.webcartop.jp/2020/11/614933/

若干セキュリティに絡めた話しも書かれていますが、自動運転時のハッキングへの脅威や乗り換え時の個人情報データ消去など、DCMを搭載することによるリスクもありますね。

セキュリティ対策への共同防衛戦線の要となるか

Response記事にも、DCMは協調領域、アプリケーションやサービスの開発は自社領との記載があります。

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https://response.jp/article/2021/04/27/345368.html

私見にはなりますが、ちょうど前々回こちらで取り上げた車両SOCのような仕組みについても、この協調領域の位置付けとして構築しても良いのでは、と考えます。セキュリティ対策はケースを蓄積することが非常に重要と考えますので、吸い込み口となるDCMを共通化することで会社の壁なく車両SOCにデータを集め、その結果、車両SOCへの信頼性を高め、各自動車メーカーのブランド向上にも繋がっていくはずです。でもそうなると、トヨタ連合軍だけでなくJ-Auto-ISACの枠組みでやってしまった方が・・・とも思えてもきます。今後の推移を見守っていきます。

車両SOCについてはこちら↓。

今回はDCMの共同開発という話しから始まりましたが、やはり少しでもセキュリティにかする領域になると、両翼を広げれば広げるほど、QCDが向上していく様を容易に想像できます。その一方で共通化が行き過ぎると、1つ穴が空いただけで全てがダウンする、というリスクも生まれてしまいますね。くるまに限りませんが、セキュリティを考える上で、この塩梅加減についての答えに辿り着くのは、まだまだ先になりそうです。