セキュリティも大切、そして決算も大切 -2021年度第1四半期の決算 トヨタ、ホンダ、スバル、マツダ-

決算も大切

今回は少し趣向を変えて、自動車会社各社の第1四半期決算を見てみたいと思います。サイバーセキュリティ対策を実行していくためには多額の投資が必要となるわけで、そこには業績の好不調が色濃く反映されてしまうわけです。日本国内だけを視野にしているとEVシフトだけでも大変な渦中にある自動車会社、コロナ禍も相まって踏んだり蹴ったりかなと想像してしまいますが、果たして。

トヨタ、恐るべし

まずはトヨタとホンダを見ていきます。

トヨタの2021年度第1四半期の連結決算は、売上が前年同期比72.5%増の7兆9355億円営業利益が前年同期から9835億円増の9974億円で過去最高!!。コロナ禍前となる前々年同期を上回ってます。四半期利益が同465.2%増の8978億円で増収増益。営業利益率は前年から3%UPの12.6%、とまあ絶好調と言うしかないですね。本当にトヨタはすごい会社様です。

販売台数を見ても、前年同期比85.4%増の214万8000台。コロナ禍前となる2019年第1四半期の水準(231万8000台)にほぼ回復。日本での販売台数は同30.1%増の50万台。海外は全ての地域で販売台数が増加し、同113.2%増の164万8000台。

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https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2108/05/news054.html (出典はトヨタ決算資料)

販売台数は全世界横ばい程度かと思いきや、中国だけは前年同期比117%超となっており、中国市場の勢いは事実のようですね。第1四半期の好調はあるものの、通期については新型コロナや半導体事情などを考慮し、据え置きとのこと。とは言うものの、売上が前期比10.2%増の30兆円営業利益が同13.8%増の2兆5000億円というわけなので、とんでもない数字であることは間違いありません。サイバーセキュリティ対策にもたくさん投資いただき、日本の自動車会社を牽引していって下さい。

ホンダも悪くない

ホンダの2021年度第1四半期の連結決算は、売上が前年同期比68.7%増の3兆5838億円営業利益が2432億円の黒字(前年同期はマイナス1136億円)、四半期利益が2225億円の黒字(前年同期はマイナス808億円)。

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https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2108/05/news054_2.html (出典はホンダ決算資料)

 

国内で考えると新型のフィットやヴェゼルあたりでしょうが、営業利益はいわゆるプロダクトミックスでの増加が大きいですね。それと、わたし自身はどうしても自動車ばかり考えてしまうのですが、ホンダは二輪事業も大きいわけで、本来はそちらにも目を向けて決算を分析する必要がありますね。

全体の数字はトヨタと比較すると見劣りするのはしようがないとして、通期見通しは上方修正とのこと。売上が前回予想から2500億円増の15兆4500億円(前期比17.3%増)営業利益が1200億円増の7800億円(同18.1%増)、当期利益が800億円増の6700億円(同1.9%増)。販売台数を下方修正しつつも売上、営業利益ともに増加させるというのが日本の自動車会社の為せる技ですね。

さて数字以外にもホンダについては触れねばならないニュースがありましたね。

EVシフトの荒波の中、2040年に世界販売の全てをEVとFCEV(燃料電池車)にすると発表したホンダ。当ブログの主題であるサイバーセキュリティも含め、求められる技術、いやもはやスキルと言うべきなのかもしれませんが、違うものとなってきている証拠のようなニュースでした。

SUBARUはがんばった

SUBARUの2021年度第1四半期の連結決算は、売上が前年同期比39.0%増の6352億円営業利益が295億円の黒字(前年同期はマイナス157億円)、当期利益が185億円の黒字(前年同期はマイナス77億円)。

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https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2108/04/news053.html (出典はSUBARU決算資料)

SUBARUもホンダ同様、プロダクトミックスが営業利益増に貢献した模様。国内では新型レヴォーグが好調、主要市場たる北米も好調とのこと。しかしながら、絶好調のときのSUBARU(当時はまだ富士重工業でしたかね)を知っているが故、営業利益率が5%にも満たないというのは淋しい限りです。

ただ、通期では売上が前年度比16.6%増の3兆3000億円営業利益が同95.2%増の2000億円、当期利益が同83.0%増の1400億円と据え置いてくれたので、期待しています。

マツダは急回復したものの

マツダの2021年度第1四半期の連結決算は、売上が前年同期比113%増の8034億円営業利益が同714億円の改善となる261億円当期純利益は同781億円改善の114億円となり見事に黒字転換!!営業利益、当期利益ともにコロナ禍以前より大幅改善を成し遂げています。

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https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2108/02/news048.html (出典はマツダ決算資料)

米国やオーストラリアでの販売が好調で、米国の2021年度第1四半期の販売台数は2019年度第1四半期の6万8000台を大きく上回る10万6000台、オーストラリアについても3万3000台を販売し、コロナ禍前の水準を超えたとのこと。需要が回復した北米やオーストラリア向けの生産に切り替えたことが功を奏した模様。小さい会社ながらのフレキシブルな対応ができた、ということでしょうか。

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https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2108/02/news048.html (出典はマツダ決算資料)

コロナ禍以前よりも好調なトヨタとの違いは中国市場でしょうか。CX-4のように独自車種も投入している中国ですが、あまり販売は上手く行ってないのでしょうか。マツダは日本らしいある意味でとても公平で優しい会社だと思いますので、SUBARUのように極端な北米傾斜を強くしていくことはないでしょうから、今後もユーザが居る限り全世界に向けて販売していくのでしょうが、身の丈に合わせた経営戦略も必要となってくるかもしれません。

特にEVシフトはもはや課題ではなく、マツダにとっては脅威です。内燃機関の技術革新を続けているマツダにとっては、理論的でない、極めて政治的なEVシフトの状況について思うところは多々あるはず。しかしながらもはやディーゼル車はもとよりガソリン車も販売できなくなります。今後、トヨタ陣営との協力関係をより強くするなど、独自路線と協調路線をいい塩梅にできるかが、マツダの生き残りに関わってくる、と考えています。

今回は第1四半期の決算を見てきましたが、各社各様で面白かったです。自動車会社をより広く深く理解していくためにも、今後も四半期決算について見ていきたいと思います。