1958年協定とは何か

MONOistの記事を参照しつつ、WP29を理解し、そこで決まったUN規則について大枠を見てきましたが、少し省略してしまった部分もあったので、隙間を埋める回にしたいと思います。

とりとめもなく記載している感が強いですが、コンテンツが揃ったあかつきには、美しい数学の証明のように、整理するようにします。

今回は 1958年協定 について見ていきます。

本来は下記の中で触れるべきだったのですが、後回しにしておりました。

1958年協定の正式名称は、「車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る統一的な技術上の要件の採択並びにこれらの要件に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定」、というそうです。。。

今さら感が強い話になってしまいそうですが、そういう部分を丁寧に記述していくのもこのブログらしさなので、背景から易しく丁寧にいきます。

航空機や船舶のように他国との行き来を考えざるを得ない乗り物とは違い、自動車は陸上のみ、かつ一国内で利用されることが主として考えられてきたため、各国独自の基準で設計・生産されてきました。

しかし流通地域の拡大、自動車メーカーのグローバル化により、国家間での自動車貿易における各国認証手続きの簡素化が求められ、国際的な基準の調和へとなっていきます。ユーザからすれば、目に見える部分は各メーカーの独自性が欲しいところですが、隠れている細かな部品一つ一つまで気にはなりませんよね。なので、自動車の設計仕様がある程度統一されることで、部品の共通化が進み、開発コストが下がることも、ユーザにとっての基準調和のメリットと言えます。

そこで、自動車の構造及び装置の安全・環境に関する統一基準の制定と相互承認を図る事を目的とし、1958年に 欧州経済委員会(The United Nations Economic Commision for Europe 略して UNECE) にて制定されたのが1958年協定となります。

そして、この協定に基づく規則(2010/2時点で127 項目あるとのこと)は 自動車基準調和世界フォーラム(WP29) にて検討されているわけです。

日本は1998年にこの1958年協定に加盟し、2009年までに日本国内基準に40項目程度を採用しているようです。採用した項目については加盟国と相互承認が可能となってます。また、日本においては自動車基準認証国際化研究センター(JASIC)が採用を促進しているとのことです。

 

1958年協定と共に良く見かけるものとして、1998年に国連で採択された 1998年協定 があります。この協定では、自動車の安全、環境、燃費及び盗難防止にかかわる世界技術基準の制定、ならびにその基準とWP29における統一基準との両立を目的としています。これにより、米国のような自動車の安全分野についてメーカーが製品の基準適合性を保証し、販売後に政府が市場の自動車の適合性を確認する「自己認証制度」を採用している国もを協定に参画することが可能となりました。

しかしながら、この世界技術基準に適合している車両が手続き等をせずに輸出入できるかというと、そうではありません。世界技術基準には認証のシステムが含まれておらず、政府認証を行っている国/地域で使用するためには、それぞれの国/地域で認証を取得する必要があります。従って、手続き等をせずに輸出入することを可能とするためには、各国政府の認証を相互に認め合う政府間の協定が必要になります。つまり、1958年協定に参加していない国が絡んだ貿易の際には、個別の政府間協定が制定されているのでしょう。(きちんと調査できておりませんが、日米などもこれに当てはまるのかと)

尚、今回参照したサイトは主に以下となります。

https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/09/090403_3/04.pdf

https://www.jasic.org/index.htm