さて今回はこちらのMONOist記事から。
これまでTRI-AD(Toyota Research Institute Advanced Development)として車載ソフトウェアを開発してきた会社が、2021年1月、新体制ウーブン・プラネット・グループとして動き出したとのこと。企業名やロゴが今っぽいですね。
持株会社となるウーブン・プラネット・ホールディングスの下、事業会社として自動運転技術を手掛けるウーブン・コア、新領域の事業機会の探索に取り組むウーブン・アルファ、投資ファンドのウーブン・キャピタルの3社となります。
セキュリティを考える当ブログにおいては、ウーブン・アルファが気になりますね。トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地で2021年2月23日に着工するコネクテッドシティ「Woven City(ウーブンシティ)」や、自動運転車向け高精度地図の普及を促進するために車両から得られるセンサーデータをオープンに共有する「Automated Mapping Platform(AMP)」、車載ソフトウェアの開発プラットフォーム「Arene(アリーン)」などが事業領域のようです。Woven Cityについては今後の進捗を見ていきたいですね。きっとセキュリティ絡みの課題も見えてくることでしょう。
今回注目は、やはり車載ソフトウェアの開発プラットフォーム、Areneでしょう。
クルマのAPIや安全性のための基本的な要素を包括する、最先端のプラットフォーム
とHPに記載されている通り、車載OSを目指して開発されているもののようです。PCやスマホのように、アプリケーションが定期的にアップデートされるのが、自動車でも当たり前になる時代がやってくるのでしょうね。カーナビの地図を更新するのにひどい出費を強いられていた時代は終わりますね。。。
具体的に触ったわけではないので、Areneの詳細はわかりませんが、ツール・サービス群となっているとのこと。
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アプリケーションSDK:シミュレーションや実車両でのアプリケーションの開発・テスト・運用ができるツールやAPI。UIやセンサー、アクチュエータなど車両の特定した部分にアクセスできます。
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シミュレーションとテスト:さまざまな車両モデルの仮想シナリオを作成し、Areneの継続的なインテグレーションおよびテスト用パイプラインを使うことで、SILS(software-in-the-loop)およびHILS(hardware-in-the-loop)のシミュレーションができます。
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インフラサービス:AWSサンドボックスの作成を自動化するAnsibleとTerraformのテンプレートを使い、クラウドベースのデータパイプラインでデータ処理およびインデックス化ができます。
このような開発プラットフォームにおいてデファクトスタンダードを構築することがトヨタの狙いかと考えますが、AppleやGoogleのような新興勢力とは競合となるのか、パートナーとなっていくのか、今後に注目したいです。先日記載した藤本先生のセミナーにおいても特にハードを長年やってきているAppleは要注意と仰っていましたが、日本車ではともかく、グローバルでのデファクトとなるのは容易ではないでしょうね。
また、EyeSightやProPILOTなど、今は各社が自動運転システムを開発しているかと思いますが、このAreneをトヨタの仲間たち、SUBARUやMazdaはきっとプラットフォームとして活用するのでしょうが、HONDAやNISSANはどうするのでしょうか。
尚このArene、現時点では残念ながらセキュリティ面については全く触れられていないので、今後エンジニアに広まっていくようであれば、その際に様々な記載が出てくることを待ちます。ただAreneを活用することで、ソフトウェアアップデートがセキュアに実施でき、SUMSへの対応が容易になる、ということであれば、トヨタ系列の中小サプライヤーが活用することで、広く普及することも夢ではないと考えます。WindowsやAndroidのように果たしてなれるのか、今後もウーブン・プラネット・グループやその各事業についてウォッチしていきたいと思います。